【#4】 特定の友達にしか心を開かない──それは本当に問題なのか?

思春期の子との関わり方

✔️ 本記事は「子育てのモヤモヤ」シリーズ本編③です。

「最近、特定の子の話しか聞かないけれど・・・?」

ふと疑問を抱いたのは、小学校高学年の頃、息子の口から、特定の友達の話ししかでなくなってきてからでした。

「友達関係に何か変化があったのかな・・・?」

と友達関係にはあまり口を出さないようにしていたのですが、本音では、子供たちは誰とでも仲良くしてほしい。多くの友達の中で、揉まれながら成長してほしい。──そう思っていた私は、次第に

「このままで大丈夫なのかな?」

と不安を覚えるようになりました。
今でこそ、当時の私にこんな言葉を投げかけたいと思うのですが、

子どもが特定の友達と付き合うことって、いったい何が“問題”なのでしょうか?

「たくさんの友達がいる=いいこと」という思い込み

私たちはいつの間にか、

「友達が多い=良いこと」
「みんなと仲良く=理想の人間関係」

という価値観に影響を受けています。

確かに、広い交友関係には学びも刺激もある。 でも、それは「誰にとっても」良いことなのでしょうか?

私自身が子どもの頃を振り返ると、

  • 人付き合いが得意なタイプではなかった
  • 少人数でいる方が安心できた

そんな記憶があります。
それなのに、親としての私は、いつのまにか“自分とは違う理想”を子どもに求めていたのだと、はっとしました。

「狭い世界」に見えるけれど、そこは“安全な居場所”かもしれない

特定の友達とばかり過ごすということは、 「世界が狭い」「視野が狭くなる」と見えてしまいがちですが、

本人にとっては、

  • 安心できる
  • 自分を否定されない
  • 無理に合わせなくてもいい そんな大切な“心の避難所”

であることも多いのです。大人だって、誰とでも仲良くはできないですよね。 自分のペースや感性に合う人と、心地よく過ごす時間が大切であるように、 子どもにとってもそれは同じなのだと、今は感じています。安心できる場所がある。それだけで、十分なんですよね。

「もっと広げなさい」は、本当に必要?

もちろん、新しい関係に踏み出すきっかけを与えることは大事です。 でも、「今の関係が悪い」と伝えてしまうと、 子どもにとっては、

「今の自分ではダメなんだ」 というメッセージに聞こえてしまうことがあります。

だから私は、最近こう言うようにしています。

「○○くんといると、落ち着いて見えるね」 「その子と長く一緒にいられるって、すごいことだね」

“広げなさい”ではなく、

「今の関係をちゃんと大事にしていること」を認める というスタンスに変えたことで、息子はそれまで以上に、学校でのその子とのエピソードを話してくれるようになりました。

そして、毎日毎日その子についての新しい出来事や発見を話してくれる息子を見て、この子には、一つのことを深く観察し、じっくり関係を育てていく力があるのだと、“狭さ”に見えていたものは、実は“深さ”だったのかもしれないと気づくことが出来ました。

一見「狭い世界」に見えたものが、実は「深く丁寧に築かれた関係」だったと気づいたとき、子どもの見ている世界を信じることの大切さを思い出しました。
子どもの個性は、大人の基準では測れないのだと思います。

今、子どもとの関わり方に悩んでいるあなたへ

子どもの交友関係に不安を感じても、
「狭い=悪い」と決めつけなくて大丈夫です。

安心できる相手とだけ関わるのは、子どもが自分の心を守ろうとしている自然な姿。
無理に広げるより、落ち着ける関係を築けていることを大切にしてほしいと思います。

人とのつながりは、広さよりも深さ。
数よりも「自分らしくいられるか」が鍵だと思っています。

そして、そうした視点で改めて見つめ直すと、今の関係の中にも、子どもの成長や強さがきっと見えてきます。焦らず、信じて、見守っていきましょう。

子育ては、長期戦ですから。

 

【次回】本編記事④「自信が持てない息子に、私は何を伝えていたのか」