✔️ 本記事は「子育てのモヤモヤ」シリーズ本編②です。
「うざい」「どうでもいい」「めんどくさい」
──最近のうちの子の口ぐせです。
会話のたびにネガティブな言葉が飛び出してきて、親としては正直、悲しくなったり、イライラしてしまうこともありました。
「もっと優しい言い方ができないの?」
「誰がそんな言葉遣ってるの?」
ついそう言いたくなってしまうのですが、指摘をすればするほど反発されて、結局は親子ゲンカに発展してしまう。
そんな経験、ありませんか?
ネガティブな言葉の奥にある「感情のくせ」
私は子供が小さいころから、「乱暴な言葉づかいは、人に不快を与えない言葉に直さなくては」と思っていました。かれこれ10年以上です。 でも、セルフコーチングの視点で子どもの言葉を見直してみたとき、単なる“口ぐせ”ではないものが見えてきたのです。
それは、「物事をどう受け取り、どう意味づけるか」のパターンでした。
つまり、「どうでもいい」は、
「傷つくのが怖いから最初から距離を取っている」
という防御のメッセージかもしれないし、
「うざい」は、
「本当は寂しい」 「うまく言葉にできない不満」
の裏返しかもしれない。
表に出てくる言葉がどんなに強くても、その奥にはもっと繊細な気持ちが隠れていることもある。 そう思ったとき、私は初めて「言葉を整えさせる」ことよりも、「気持ちを聴いてあげる」ことの大切さに気づいたのです。
親としての“言葉の選び方”が影響しているかもしれない
実は、私自身も神経質なところがあり、普段から「言い方」に敏感なところがあります。
「相手がどう感じるか」「もっと思いやりのある表現にしてほしい」
そう思って、子どもにもよく注意していました。
でも今振り返れば、それは“丁寧に話すことを教えていた”というより、
「ネガティブな気持ちを見せるのはよくないこと」
という無言のメッセージになっていたのかもしれません。
結果として、子どもは「本当の気持ちを素直に出せない」「出しても否定される」という思いを抱えていたのでは……私が気づかないうちに、そう感じていたのかもしれないと思うようになりました。
ネガティブな言葉を責めず、翻訳する
それ以来、私は子どもが乱暴な言葉を使ったときに、すぐに叱らないように1…2とカウントダウンをし、深呼吸をして「まず心を整えて」から受け止めるようにしています。
「いま、そう言いたくなるくらい疲れてるのかもね」
「“めんどくさい”って、本当はどう感じてるの?」
そんなふうに“翻訳”して受け止め、なるべくシンプルな「キャッチボール」としての言葉を返してみると、 不思議と少しずつ、息子の本当の気持ちがぽろりぽろりとこぼれるようになりました。
ネガティブな言葉は、ただの敵ではなく、
「気づいてほしい」「わかってほしい」 という、サインなのかもしれません。
今、戸惑っているあなたへ
ネガティブな言葉は、親の心にズシンと響きますよね。 思わずムッとしたり、「そんな言い方しないで」と言い返したくなることもあると思います。
でも、それをそのまま「悪いこと」と決めつけなくても大丈夫なのです。
ネガティブな言葉の奥には、整理しきれない気持ち、不安、寂しさ、疲れ── まだうまく表現できない“こころの叫び”が隠れていることもあります。
もし私たちが、子どもの言葉の表面だけを見て「ダメな言葉」とラベルを貼ってしまえば、 子どもは「本当の気持ちを出したら否定されるんだ」と感じ、ますます心を閉ざしてしまうかもしれません。
だからこそ、一度だけでいいので、言葉の“奥”にある気持ちに意識を向けてみてください。
言葉づかいを変えるには、「こう言いなさい」と教えるよりも前に、 「あなたの気持ちはちゃんと受け止めているよ」という安心感が必要なんです。
私たち親も、正解のない中でゆらぎながら子どもと向き合っています。 だからこそ、完璧でなくてもいい。ただ、寄り添ってみようと思える気持ちがあれば、それだけで十分なんです。
「今はただ、そばにいてわかってくれるだけでうれしい」
──そんな子どもの心の声に気づけたら、それがきっと、親子の関係をつなぎ直す一番のギフトになるのだと思います。
【次回】本編記事③「特定の友達にしか心を開かない──それは悪いことなのか?」